遺産分割協議による相続登記の申請をする際には、相続人が実印により押印した遺産分割協議書と印鑑証明書を添付します。この印鑑証明書には発行後何ヶ月以内というような有効期限はありません。

ただし、銀行預金や郵便貯金、株式など、不動産の相続登記以外の遺産相続手続きに使用する印鑑証明書では、発行後3か月や6か月以内など有効期限が定められていることが多いのでご注意ください。

また、不動産登記手続きにおいては、印鑑証明書だけでなく、戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本などについても有効期限の定めはありませんが、その他の遺産相続においては、手続きを行う金融機関等の規定により有効期限が決まっていることもあります。

遺産分割協議書への署名押印後に死亡した相続人がいる場合

上記のとおり、相続登記の際に提出する遺産分割協議書とともに提出する印鑑証明書には有効期限の定めがありません。

したがって、遺産分割協議書への署名押印後に死亡した相続人がいる場合であっても、その方の生前に交付されている印鑑証明書があれば、その遺産分割協議書及び印鑑証明書を添付することで相続登記ができます。

相続人の全員による遺産分割協議がいったん成立したのであれば、そのことを証する遺産分割協議書、印鑑証明書を提出することで、協議書等の申請は担保されるからです。

印鑑証明書の提出を省略できる相続人

遺産分割協議書には、相続人の全員が実印により押印し、印鑑証明書を提出するのが原則です。けれども、登記実務上は「申請人となる相続人」の印鑑証明書は添付しなくとも良いとされています。

ただし、印鑑証明書が不要な相続人についての規定が存在するわけでは無いので、どのような場合に印鑑証明書が不要なのか一律の基準はありません。

たとえば、遺産分割協議の結果、複数の相続人が共有名義で不動産を取得することとなったとします。この場合の相続登記では、その共有者全員が申請人になるので印鑑証明書が不要だという解釈もできます。

しかし、そのような拡大解釈は適当では無く、印鑑証明書の添付が不要なのは、相続人中の1人が単独で不動産を相続する場合に限られると考えるべきです。

なお、印鑑証明書の添付が不要だということは、遺産分割協議書に押す印鑑も実印である必要は無く、認印で良いことになりますが、通常はすべての相続人が実印で押印しておくべきでしょう。

このように印鑑証明書が省略できる場合があるのは、不動産の相続登記の場合に限られます。その他の遺産相続手続きにおいては、印鑑証明書の添付が求められますから、どのようなケースにおいても原則どおり実印によって押印しておくのが確実だといえます。

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