相続登記をする際には、登記原因証明情報としての「相続を証する情報」が添付書類となります。協議による遺産分割と、調停(または審判)による場合とでは、相続を証する情報も異なります。

家庭裁判所の遺産分割調停(または審判)にもとづいて相続登記をする際の「相続を証する情報」としては、「調停調書」(または「審判書」(確定証明書付))を添付します(登研202号)。

この相続による所有権移転登記に添付する「相続を証する情報」としての調停調書は正本でなく謄本でも差し支えありません(登研527号)。

一方、遺産分割協議による相続登記で「相続を証する情報」に当たるのは、「被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本の全て」や、遺産分割協議書などです。

けれども、遺産分割が調停または審判による場合には、これらの戸籍などは不要であり、代わりに調停調書などが添付書類となるわけです。

家庭裁判所へ遺産分割調停の申立てをする際には、被相続人の出生時(被相続人の親の除籍謄本または改製原戸籍謄本など)から死亡時までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本や、相続人全員の戸籍謄本および戸籍附票(又は住民票)などを提出します。

調停や審判による遺産分割は、上記の戸籍などにより相続関係を明らかにした上でおこなわれ、調停調書(または審判書)によって相続関係を確認できるので、相続登記の際にあらためて戸籍などの提出をする必要は無いとされているのです。

ただし、調停調書に被相続人の死亡年月日が書かれていないときには、被相続人の死亡(その年月日を含む)を証する戸籍又は除籍の抄本を添付します。

また、登記簿上の住所氏名と、被相続人の住所または氏名が相違する場合には、その同一を証する書面として、住民票除票や戸籍(除籍)附票などの添付も必要です。

遺産分割の調停が成立し、それぞれ単独で不動産の所有権を取得した場合、相続を証する書面としては、調停調書の謄本を添付する。

また、調停調書に相続開始の時期が、明らかにされていないときには、被相続人の死亡(その年月日を含む)を証する戸籍又は除籍の抄本を添付する。

登記名義人の表示と被相続人の氏名又は住所が相違する場合には、その同一を証する書面として、住民票除票の抄本又は不在証明等の添付をも要する(登研202号)。

調停によって、年月日相続を原因とする遺産分割の調停が成立した場合は、この移転登記に添付する相続を証する書面としての調停調書は正本でなく、謄本でも差し支えない(登研527号)。

相続登記未済の不動産につき遺産分割調停が成立し、その登記を申請する場合、戸籍謄抄本等の添付を要しない(昭和37年5月31日民事甲1489)。