建物を取り壊したときには、その滅失の日から1か月以内に「建物滅失の登記」をしなければなりません。

この建物滅失登記は「表題部所有者または所有権の登記名義人」がおこないますが、表題部所有者または所有権の登記名義人が亡くなっている場合には、相続人により建物滅失登記をすることができます。

したがって、土地と建物を相続したときに、建物はすぐ取り壊すという場合には、土地についての相続登記のみをすればよいことになります。建物については、被相続人名義のまま取り壊しをして、建物滅失の登記をすればよいわけです。

建物滅失の登記手続きは、建物滅失証明書(工事請負人の印鑑証明書付)などを添付しておこないますが、相続人による場合には、相続があったことを証する書面(戸籍謄本など)も必要となります。なお、建物滅失の登記は、司法書士ではなく不動産表示登記の専門家である土地家屋調査に依頼します。

不動産登記法30条(一般承継人による申請)
表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。

不動産登記法57条(建物の滅失の登記の申請)
建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。