公正証書遺言は、公証役場で公証人により作成されるものです。
公正証書遺言を作成すると「遺言書原本」は公証役場で保管されます。そして、遺言者には遺言書の「正本」および「謄本」が交付されます。
公正証書遺言の中で、遺言執行者を指定している場合には、遺言書正本を遺言執行者(予定者)に渡しておき、謄本は遺言者自身が保管していることが多いようです。
公正証書遺言の謄本で相続登記ができるのか
公正証書遺言の正本で相続登記が可能なのは当然として、謄本によっても登記は可能なのでしょうか?
ネット上では「登記実務では、公正証書遺言の正本を法務局に提出する必要がある」といったような記述も見かけますが、相続登記については公正証書遺言の謄本によってもおこなうことができます(平成26年10月に千葉地方法務局へ確認。同時期に松戸支局へ申請済)。
公正証書遺言の正本・謄本のどちらが必要なのかについての先例や通達の存在を知らないのですが、正本が必要だとの登記実務(?)が変更されているのか、もしくは、現在でも地域により取り扱いが違うのでしょうか。念のため、登記申請をする法務局へ事前に確認するのが無難かもしれません。
なお、謄本とは原本の写しのことですが、公正証書遺言謄本の場合には、末尾に次のような記載がされ公証人の印が押されています。登記原因証明情報の一部として提出するのだから謄本(写し)では駄目との意見ももっともですが、公証人により原本と同じ内容であることが認証されているわけですから、謄本でじゅうぶんな気もするのですが。
この謄本は、平成○年○月○日、本職役場において原本に基づき作成したものである。
千葉県松戸市本町○番地の○
千葉地方法務局所属 公証人 法務太郎(印)