不動産登記の申請人が未成年者であるときは、親権者(または未成年後見人)が法定代理人として、本人を代理して登記の申請をおこないます。

この場合、登記申請をする際に、代理人の権限を証明する情報(代理権限証明情報)を提出する必要があります。そこで、親権者が法定代理人となる場合であれば、親権を証明することができる戸籍謄本を提出することになります。

なお、代理権限証明情報としての戸籍謄本は作成後3ヶ月以内のものでなければなりません。登記原因証明情報(相続証明書)の一部としての戸籍謄本については有効期限の定めがありませんが、代理権限証明情報として提出する場合には作成後3ヶ月以内でなければならないわけです。

法定相続による相続登記の場合

未成年者と、その親(親権者)とが共同相続人であるときに、法定相続による相続登記をすることが選択される場合があります。

たとえば、母と子2人が共同相続人である場合に、母2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつの共有により相続登記をするわけです。この場合には、親権者である母が子を代理して登記手続きをおこなうことができます。

法定相続分と異なる割合で登記をするのであれば、未成年者のために特別代理人を選任する必要がありますが、上記のように法定相続による相続登記であれば特別代理人選任は不要だからです。

相続登記をすることにより親権者と未成年者との共同名義になった不動産を売却する際、親権者は未成年者を代理して手続きをおこなうことができます。このとき、家庭裁判所の許可等は必要ありません。よって、未成年者とその親権者が相続人である場合で、すぐに不動産を売却するのであれば、いったん法定相続による相続登記をおこなうのが便利なこともあるでしょう。

また、その不動産にそのまま住み続ける場合であっても、未成年者との共有名義にするので差し支えないと考えるならば法定相続による登記をおこないます。このときも、特別代理人選任が不要であるのは同様です。

法定相続による相続登記をする際には、登記原因証明情報として、相続人の全員を明らかにする戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)が必要となります。また、親権者が未成年者を代理して登記するときには、上記のとおり代理権限証明情報として、親権を証明する戸籍謄本も必要です。

登記原因証明情報としての戸籍謄本と、代理権限証明情報としての戸籍謄本が同一のものであれば、提出するのは1通のみで差し支えありません(代理権限証明情報とするためには作成後3ヶ月以内のものでなければなりません)。

ただし、相続関係説明図を提出していても、その記載をもって親権を証明するものとすることはできません。つまり、代理権限証明情報としての戸籍謄本を提出しなければなりませんから、コピーを提出して原本還付を受けるなどの方法をとる必要があります。