遺産分割協議書へ相続人全員が署名押印した上で、印鑑証明書の交付を受けていたものの、相続登記をしていなかったとします。遺産分割協議書に付ける印鑑証明書には有効期限の定めがありませんから、このような場合であっても、後から相続登記をすることはもちろん可能です。

ただし、相続登記をするには、相続人全員についての住所を証する書面(住民票、戸籍の附票など)が必要なのが通常です。上記のようなケースで、相続登記をするときに相続人の住民票を取ってみたら、遺産分割協議書(および印鑑証明書)の住所と異なっていることもあるでしょう。遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書を提供したときから時間が経過していれば、引っ越し(住所移転)などにより住所が変わっている場合もあるからです。

一度、遺産分割協議が成立すれば、いくら時間が経ったとしてもその効力が失われることはありません。したがって、住所が変わったとしても遺産分割協議書の有効性には影響がなく、当時の遺産分割協議書を添付すれば問題無く相続登記をすることができます。しかしながら、相続人の現住所と、遺産分割協議書に記載の住所とが相違していると、同一人物であることが証明できないことになります。

相続人の同一性を証明するための書類

この場合、遺産分割協議書(および印鑑証明書)に記載の住所から、現住所に至るまでのつながりが分かる住民票(住民票の除票、戸籍の附票)などを用意し、相続登記の添付書類とします。そうすれば、その相続人の同一性が証明できますから、登記が可能となるのです。

なお、相続登記の添付書類のうち、有効期限が決まっているものはありません。戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)、住民票(戸籍の附票)、印鑑証明書など、どの書類についても取得してから時間が経っていても差し支えありません(ただし、相続人の戸籍謄本については、相続開始後に取ったものでなければなりません。相続が開始した時点で、法律上の相続人であることを証明する必要があるからです)。

したがって、書類を揃えたもののすぐに登記をしなかったような場合でも、当時の書類が全て残っているのであれば、相続登記は出来るはずです。書類が古くなってしまったからとあきらめずに、不動産登記の専門家である司法書士にご相談ください。

(最終更新日:2014年7月21日)

関連ページ(相続と登記手続の相談室)

相続登記のよくある質問