遺産分割協議は相続人全員によりおこなう必要がありますが、相続人中に認知症の方がいるときには、その相続人は自分自身で遺産分割協議に参加することはできません。

この場合、遺産分割協議をするには、認知症の相続人のために、家庭裁判所へ成年後見開始の申立てをします。そして、選任された成年後見人が、成年被後見人(相続人)を代理し遺産分割協議をすることになります。

家庭裁判所は、精神上の障害によって、判断能力を欠く常況にある者については後見開始の審判をすることができるとされています。認知症により判断能力が失われているときも、後見開始の審判の対象となり、成年後見人が選任されるわけです。

成年後見人による遺産分割協議書への署名押印

認知症の相続人(成年被後見人)を代理して、成年後見人が遺産分割協議に参加した場合、遺産分割協議書へは次のように肩書を記載します。相続人の名前を示した後に、その相続人の成年後見人であることを表記するわけです。

そして、遺産分割協議書へは成年後見人が署名し実印で押印します。この協議書に添付する印鑑証明書は成年後見人のものです。さらに、成年後見人の資格を証する書面として、後見に関する登記事項証明書も添付します。

遺産分割協議書

被相続人 甲野太郎(平成○年○月○日死亡)
最後の本籍 東京都荒川区東日暮里四丁目○番地
最後の住所 東京都荒川区南千住一丁目○番○号
登記簿上の住所 千葉県松戸市稔台一丁目○番地○

上記被相続人の遺産について、共同相続人間において遺産の分割について協議をした結果、次のとおり決定した。

1 甲野花子は次の不動産を取得する。
  (不動産の表示 省略)

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成し、署名捺印する。

               東京都荒川区東日暮里四丁目○番○号
                     相続人 甲野 花子
               上記成年後見人 甲野 一夫(実印)

               千葉県松戸市松戸○番地
                     相続人 乙野 二朗(実印)