被相続人が死亡したが、法定相続人がいない場合に、相続財産の整理をする必要があるときの手続きです。相続人に当たる人がそもそもいない場合だけでなく、相続人の全員が相続放棄をしたことによって、相続人がいなくなった場合も同様の手続きをおこないます。

相続人の不存在を確定させるための第一歩として、まずは家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立をします。その後、相続債権者・受遺者への公告および催告を経て、相続人捜索公告の期間経過により相続人の不存在が確定します。

その後、被相続人と特別の縁故があった人(被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人)から、特別縁故者に対する相続財産分与の請求があった場合、家庭裁判所は、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与えることができます。

特別縁故者からの請求が無い場合、また、特別縁故者へ分与してもまだ相続財産が残っている場合には、その相続財産は国庫に帰属することになります。ただし、相続財産が不動産であって共有者がいる場合には、特別縁故者の不存在が確定することで、その不動産の持分が他の共有者に帰属することになります。

1.相続人の不存在が確定するまでの手続き

被相続人の最後の住所地(相続開始地)の家庭裁判所へ、相続財産管理人選任審判の申立てをします(民法952条1項)。そして、相続財産管理人を選任した家庭裁判所は、その旨を公告します(相続財産管理人選任の公告)。

家庭裁判所による相続財産管理人選任の公告から2ヶ月以内に、相続人の存在が明らかにならなかったときには、相続財産管理人により、相続債権者および受遺者に対しての公告および催告をします。公告は官報により、2ヶ月以上の期間を定めて、その期間内に申出をするよう求めます。また、判明している相続債権者および受遺者には、それぞれに申出の催告を通知しなければなりません(民法957条)。

相続財産管理人が、相続債権者・受遺者への公告および催告をおこない、その申出期間が過ぎても相続人の存在が不明な場合、相続財産管理人は家庭裁判所に対し相続人捜索の公告申立てをします。申立を受けた家庭裁判所は「相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨」を公告します。この公告は6ヶ月以上の期間が必要だとされています(法958条)。

相続人捜索公告の期間内に、相続人としての権利を主張する者がいなかったときには、特別縁故者による相続財産分与の請求が可能となります。特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故があった人(被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人)です。これらの特別縁故者から請求があった場合、家庭裁判所は、その人に対して相続財産の全部または一部を与えることができます。

特別縁故者からの相続財産分与請求の申立てが無い場合、または、分与の申立却下が確定したときには、相続人・受遺者・特別縁故者のいずれも不存在であることが確定します。

2.相続人不存在の場合、共有不動産は誰のものになるか

不動産の共有者が死亡した場合で、その共有者に相続人がいないときには、相続財産管理人選任の申立をします。そして、最終的に特別縁故者の不存在が確定することで、亡くなった共有者の持分が、他の共有者に帰属することになります。そのときは、「平成○年○月○日 特別縁故者不存在確定」を登記原因として、所有権移転登記をします。

共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、民法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、民法255条により他の共有者に帰属することになる(最高裁判所平成元年11月24日判決)。

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