ダイヤモンド社のウェブサイトDIAMOND onlineに「知らないと損する相続・贈与の基本」の特集があります。この2014年12月22日付け、第1回目記事のタイトルは「配偶者は常に相続人となりその他は順位がある 法定相続人の範囲と相続割合」です。

配偶者は常に相続人となりその他は順位がある 法定相続人の範囲と相続割合
 配偶者とともに一定の親族も相続人になる。こちらは第1順位から第3順位まであり、上位の順位者がいないときのみ次順位の親族が相続人となる。第1順位は、被相続人の子である。子がすでに亡くなっている場合は「代襲相続」といって、その子(被相続人から見れば孫)や孫(同ひ孫)など直系卑属が相続人になる。

配偶者が必ず相続人になること、また、配偶者とともに、被相続人の子ども、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹の順で相続人となることをご存じの方も多いでしょう。

子どもについては、父母が離婚した場合であっても、父母それぞれの相続人となります。たとえば、幼少期に離婚し妻が子の親権を持ったとします。その後、被相続人である父が死亡するまで、一度も父子が顔を合わせたことがないようなケースであっても、子は父の相続人であることに代わりはありません。

司法書士として多数の遺産相続の現場を見ていると、先妻との間に子がいるのになんの相続対策も施さずに亡くなられている方が多いのに驚かされます。この場合、残された相続人が、見ず知らずの異母兄弟と連絡を取り遺産分割協議への協力を求めることになります。父に良い印象を持っていないときには、協力を得るのが困難なことも多く見受けられます。

先妻との間に子がいて、円満に遺産分割協議をおこなうのが難しいと予想されるときには、遺言書を書いておくのが最低限の義務だといえます。子には遺留分がありますし、遺言書を書いたからといって争いが完全に防げるわけではありませんが、何も相続対策をしていないのに比べればはるかに良いです。

遺産分割協議前にさらに相続が開始しているとき

どなたかが亡くなられたものの、不動産の名義変更をおこなわないまま長い年月が経っていることがあります。この場合、相続人であった方が、さらに亡くなっているときには、その方の相続人に相続権が引き継がれます。たとえば、相続人であった子どもが亡くなっているときには、その方に妻子がいたとすれば、その妻子が相続権を引き継ぎます。つまり、子の配偶者(いわゆる、嫁)が、相続人の1人として遺産分割協議に参加することになるわけです。

記事中にある代襲相続の場合には、被相続人よりも子が先に亡くなっていれば、その子(被相続人の孫)が代襲相続人となりますが、子の妻(嫁)は代襲相続することはありません。このことと、遺産分割協議をおこなう前にさらに相続が開始しているときとを区別して考えなければなりません。ご相談にいらっしゃる方の中には、誰が相続人であるかを把握できていないケースも多いです。少しでも迷ったら司法書士などの専門家に相談しながら手続きを進めていくべきでしょう。