ある方について相続が開始し、その遺産分割についての話し合いが終わらないうちに、相続人中の1人が死亡したときはどうなるのでしょうか。

妻(配偶者)はいるが、子がいない場合

遺産分割協議が終わる前に相続人が死亡

上の例では、被相続人Aが平成25年に死亡しています。このとき、相続人であったのは妻Bおよび、子C、子Xの3人でした。それぞれの相続分は妻が4分の2、子は4分の1ずつです。

相続人3人により遺産分割についての話し合いをおこないましたが、合意に至る前に子Xが亡くなってしまったのです。この場合、Xが有していた相続人としての権利が、Xの相続人に引き継がれることになります。

Xの相続人は、配偶者である妻Yと、直系尊属であるBです。配偶者と直系尊属が相続人である場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。よって、Xが有していた相続分4分の1を上記の割合で相続しますから、配偶者が12分の2、直系尊属が12分の1となります。

結局、Aの遺産に対する法定相続分は、Y12分の7、C12分の3、Y12分の2となります。Xの妻であるYも、義父Aの遺産相続権を持つことにはなりますが、そもそも夫であるXが有していた相続分(12分の3)よりは減ってしまうわけです。

妻子がいる場合

上記の例で、XとYの間に子がいた場合、Xの相続権はどうなるのでしょうか?

この場合、Xの相続人は配偶者Xと子の2人です。配偶者と子が相続人の場合の法定相続分は2分の1ずつですから、結局、Xの相続分である4分の1を、その半分である8分の1ずつ相続することになります。

したがって、夫婦間に子どもがいる場合には、亡くなった夫が有していた相続権を妻子が全部引き継げるのですが、子どもがいないときには、夫の配偶者(または、兄弟姉妹)と共同で相続することになるのです。

また、夫婦間に子どもがいないときには、夫Xの財産についても、夫の母Bが3分の1の相続権を持つことになります。Xが妻Yに全財産を相続させようと考えるのであれば、生前に遺言書を作成しておくことが必要です(ただし、母Bには遺留分があります)。

遺言書を作成する際にも事前に考えるべきことは多々あります。司法書士などの専門家に相談した上で進めていくことをお勧めします。当事務所でも遺言書の作成についてのご相談を承っております。