この記事では、家庭裁判所の調停(または、審判)による遺産分割があった場合の、相続登記に必要な書類について解説しています。
その他の場合の、相続登記の必要書類についてのくわしい解説は、千葉県松戸市の高島司法書士事務所による相続登記の必要書類のページをご覧ください。
調停調書による場合の必要書類
相続登記をする際には、登記原因証明情報としての「相続を証する情報」が添付書類となります。協議による遺産分割と、調停による遺産分割の場合とでは、相続を証する情報も異なります。
家庭裁判所の遺産分割調停に基づいて相続登記をする際、相続を証する情報として添付する必要があるのは調停調書のみです。この調停調書は正本でなく、謄本でも差し支えありません。
遺産分割協議による相続登記の場合に必要な、被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、相続人の戸籍謄本などは必要ありません(協議によるのではありませんから、遺産分割協議書や相続人の印鑑証明書なども当然不要です)。
上記により、調停調書による相続登記において通常必要となる添付書類は次のとおりです。
・登記原因証明情報 ・・・調停調書
・住所証明情報 ・・・申請人の住民票(または、戸籍の附票)
・代理権限証明情報 ・・・委任状(代理人による申請の場合のみ)
・固定資産評価証明書
ただし、調停調書に被相続人の死亡年月日が書かれていないときには、被相続人の死亡(その年月日を含む)を証する戸籍又は除籍の抄本を添付します。
また、登記簿上の住所氏名と、被相続人の住所または氏名が相違する場合には、その同一を証する書面として、住民票除票や戸籍(除籍)附票などの添付も必要です。
なお、家庭裁判所の審判による遺産分割の場合、審判書の正本(謄本)に加えて、確定証明書の添付も必要となります。その他の必要な添付書類は調停による場合と同じです。
相続を証する書面としては、調停調書の謄本及び被相続人の死亡(その年月日を含む)を証する戸籍又は除籍の抄本を添付する。なお、登記名義人の表示と被相続人の氏名又は住所が相違する場合には、その同一を証する書面として、住民票除票の抄本又は不在証明等の添付をも要する(登研202号)。
※被相続人の死亡(その年月日を含む)を証する戸籍又は除籍の抄本が必要なのは、調停調書に相続開始の時期は明らかにされていない場合のみ。
調停によって、年月日相続を原因とする遺産分割の調停が成立した場合は、この移転登記に添付する相続を証する書面としての調停調書は正本でなく、謄本でも差し支えない(登研527号)。
相続登記未済の不動産につき遺産分割調停が成立し、その登記を申請する場合、戸籍謄抄本等の添付を要しない(昭和37年5月31日民事甲1489)。

