相続分の譲渡が、相続人の地位の譲渡なのであれば、譲受人名義に相続による所有権移転登記ができても良さそうですが、そのような登記は認められていません。いったん相続人名義に相続登記をした後に、相続分の譲受人に対して名義変更をする必要があります。このときの登記原因は、相続分の譲渡ではなく、相続分の贈与、または相続分の売買です。
「2014年3月」の記事一覧
権利証を紛失しているとき
権利証を提出するのは、それが不動産の所有者でなければ持っていないはずの書類だからです。つまり、権利証を差し出すことによって、不動産所有者がその所有権を失ったり、担保権を設定されることに同意していることを表そうとするのです。そのため、不動産の名義人が手続きに関与しない相続登記では、権利証の提出を求められていません。自宅に保管してある権利証を相続人が持参したとしても、それが被相続人(不動産の名義人)の意思を表していることにはならないからです。
他に相続人がいないことの証明書(相続登記)
除籍簿が消失し、再製ができなかったとなれば、誰が相続人の全員であるかを戸籍等によって証明することは不可能となってしまいます。この場合に相続登記をするためには、除籍消失により謄本が交付できないことについての「告知書」を区役所等から公布してもらいます。さらに、相続人全員による「他に相続人がいないことの証明書」を作成し、署名押印(実印)のうえ、印鑑証明書を添付することもあります。
不動産を法定相続する相続登記
共同相続人のうちの一部の人が、相続人全員のための相続登記をすることができます(相続人全員のための、保存行為として認められるものです)。ただし、相続人中の一部の人による申請でも、自己の持分のみについての登記申請は認められず、共同相続人全員について登記申請しなければならないとされています。