相続登記の話題からは少し逸れますが、本籍地をあまり頻繁に移していると、ご自身の遺産相続手続きのときに手間や時間がかかる場合があるというお話です。

本籍地の決め方に決まりはあるのか?

本籍地は日本国内であればどこに置いても構いません。通常は、生まれたときに親の戸籍に入るので、子どもの本籍地は親と一緒です。

結婚すると、新たに夫婦の戸籍を作りますが、このときどこに本籍地を置くかは自由に決めることができます。また、結婚をしなくても分籍することによって、自分が筆頭の戸籍を新たにつくることができるので、その際に自由に本籍地を選ぶことが可能です。

本籍地は住所と全く異なる場所でも構わないので、富士山山頂や離島を本籍地にすることもできます。ただし、戸籍謄本が取れるのは本籍地がある市町村役場なので、住所地から離れた場所を本籍地にすると不便な場合もあります。

本籍地をどこに置くのがよいのか?

上記のとおり本籍地を置く場所には決まりがありませんが、結婚した際には、親の本籍地と一緒にしている例が多いと思われます。そして、結婚後にマイホームを購入したときには、そこに本籍地を移すのが一般的でしょう。

結婚をしない場合には、あえて分籍をすることで自分の戸籍を作らない限り、親と一緒の戸籍に入っていますから、本籍地を移すケースは少ないはずです。

上記のように、結婚や自宅購入などがない限りは、本籍地を移さない人が多数派であるはずですが、中には引っ越しをする度に本籍地を移しているケースも見受けられます。たしかに、本籍地はどこに置いても良いのですし、戸籍が必要な手続をするのにも便利なのですが、本籍地を頻繁に移していることで厄介になる場合があります。

それは、ご自身の相続手続をするときです。相続登記などの遺産相続手続をする際には、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本のすべてが必要となるのが通常です。もしも、本籍地が何度も変わっているときには、本籍地を置いていたすべての市役所等に対して請求をしなければなりません。

相続登記を司法書士に頼んだときなどは、戸籍謄本等の収集もすべて任せることができますし、それほど大きな問題ではありませんが、手間や時間が余計にかかるのはたしかです。したがって、本籍地と住所をいつも同じ場所にしたいならばそれでも構わないでしょうが、多くの場合、本籍地はあまり頻繁に移すものではありません。