相続登記をするために必要な遺言書の条件

法的に有効な遺言書があって、遺言により誰が不動産を相続するかが指定されているときには、その遺言書により相続登記をおこないます。

遺言書は公正証書などによるのでなく、遺言者自身が手書きしたものであっても、自筆証書遺言の要件を満たしていれば登記が可能です。民法に定められた、自筆証書遺言の要件は次のとおりです。

1.全文を自筆にする(すべてを手書きで直筆しなければなりません)
2.正確な作成日を書く(○年○月吉日のような書き方は駄目です)
3.戸籍通りの正しい氏名を書く
4.印鑑を押す

たとえば、次のような遺言書があったとすれば、この遺言書により、遺言者名義のすべての不動産についての相続登記が可能です。「全財産を相続させる」と書いてあるのですから、個々の不動産についての記載がなくとも、全てが相続の対象となるわけです。

遺言書

遺言者松戸一郎は、妻花子に全財産を相続させる。

平成27年1月1日

遺言者 松戸 一郎 (印)

この場合、法定相続人による遺産分割協議は不要ですし、法定相続人が誰であるかを証明するための戸籍謄本等も不要です。

そこで、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本、および遺言により相続分の指定を受けた方が、相続の開始時において適法な相続人であることが証明できる戸籍謄本等があれば、被相続人に関するその他の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本は不要なのです。