不動産登記をする際には、登記申請時に登録免許税を納付しなければなりません。相続による所有権移転登記の登録免許税の税額は、不動産の価額の1000分の4(0.4%)です。

この不動産の価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格です(固定資産課税台帳の価格がない場合は,登記所が認定した価額です)。

市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格とは固定資産評価額のことなので、登録免許税額は固定資産評価額により計算するわけです。

たとえば、固定資産評価額が1000万円ならば、登録免許税の税額は4万円となります。

・10,000,000×(4/1,000)=40,000円

なお、登記原因が相続ではなく、贈与、遺贈の場合の登録免許税の税率は1,000分の20(2%)です。それ以外の計算方法等については相続の場合と同じですので、税率だけを読み替えれば計算が可能です。

1.登録免許税額の計算方法

2.持分についての移転登記の場合

3.私道(公衆用道路)がある場合

1.登録免許税額の計算方法

登録免許税の計算をする際、固定資産評価額の1,000円未満の端数は切り捨てます。また、固定資産評価額が1,000円未満である場合には1,000円とします。

この評価額の1000分の4が登録免許税額となりますが、計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨て、計算した額が1,000円未満であるときは登録免許税額を1,000円とします。

なお、土地と家屋など複数の不動産について1つの申請で所有権移転登記をするときは、最初に固定資産評価額の合計金額を算出してから、1,000円未満の金額を切り捨てます。

2.持分についての移転登記の場合

被相続人が所有していたのが共有持分である場合には、持分全部移転の登記をします。このときの登録免許税は移転する持分についてかかります。たとえば、土地全体の固定資産評価額が1,000万円で、被相続人の持分が3分の1だったとすれば、登録免許税額は次のように計算します。

・移転する持分の固定資産評価額 10,000,000円 × 1/3 = 3,333,333円

・登録免許税額の計算 3,333,000円 × 4/1000 = 13,332円

計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨てるので、登録免許税額は13,300円となります。

3.私道(公衆用道路)がある場合

相続する不動産の中に私道(地目は公衆用道路)がある場合、この私道についても所有権移転登記をします。

しかし、私道(公衆用道路)は、固定資産税及び都市計画税が非課税であるため、固定資産評価証明書に価格が記載されていません(一部例外あり)。

固定資産評価証明書に価格が記載されていないからといって、公衆用道路が無価値ということはありませんし、公衆用道路も登録免許税の課税対象となっています。

登録免許税を計算する場合、近傍宅地の評価額を使用します。近傍宅地の1平方メートル当たりの評価額を算出し、それに30/100を乗じた額を公衆用道路の評価額とするのです。

たとえば、近傍宅地の1平方メートル当たりの評価額が10万円だとすれば、公衆用道路の1平方メートル当たりの評価額は3万円となるわけです。この1平方メートル当たりの評価額に、土地の面積(地積)を乗じることで、公衆用道路の固定資産評価額が算出できます。

近傍宅地の評価額については、私道(公衆用道路)の所有権移転登記をするのと同時に、そこに隣接する宅地の移転登記もする際には、その宅地の固定資産評価額を近傍宅地の評価額として利用することができます(地域による違いがあるかもしれないので、事前に管轄法務局へご確認ください)。

また、固定資産評価証明書を発行する際に、近傍宅地の1平方メートル当たりの価格を記載してくれる市町村役場もあります。この場合は、相続登記の申請をする際に、近傍宅地の1平方メートル当たりの価格が入った固定資産評価証明書を添付します。

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