相続人が複数いるとき、相続財産は、その共同相続人全員の共有に属します。そして、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継するとされています。

共同相続人それぞれの相続分は、法定相続分として民法(900条、901条)により定められていますが、被相続人が遺言により法定相続分と異なる相続分を定めることもできます(指定相続分)。つまり、指定相続分の定めがない場合には、法定相続分の規定により各相続人の相続分が決まるわけです。

・共相続人の法定相続分

各共同相続人の法定相続分については次のとおり定められています。

相続人 法定相続分
配偶者および子 配偶者、子が2分の1ずつ
配偶者および直系尊属 配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
配偶者および兄弟姉妹 配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

法定相続分の決定にあたっては次の各事項についてもご確認ください。

  • 子、直系尊属、兄弟姉妹が数人いるときは、それぞれの法定相続分は同じです。たとえば、配偶者と子2人が共同相続人ならば、法定相続分は配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつとなります。また、共同相続人が子2人のみだったとすれば、法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです(共同相続人が直系尊属のみの場合も同様)。
  • かつては、子の中に非嫡出子がいる場合、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の半分とされていました。しかし、平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、非嫡出子の法定相続分が嫡出子と同等になっています。また、平成13年7月1日以後に開始した相続についても、すでに遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除いては、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等のものとして扱われます。
  • 被相続人の兄弟姉妹が相続人である場合、被相続人と父母のいずれかが異なる兄弟姉妹(半血兄弟)の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の半分となります。
  • 代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぎます。たとえば、被代襲者である母(相続分は2分の1)の、2人の子たちが代襲相続人であったならば、それぞれの相続分は遺産全体の4分の1ずつとなります。

・参考条文

(法定相続分)

第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

(代襲相続人の相続分)

第901条 第887条第2項又は第3項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。

2 前項の規定は、第889条第2項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(子及びその代襲者等の相続権)

第887条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条(相続人の欠格事由)の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条(相続人の欠格事由)の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第889条 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二 被相続人の兄弟姉妹

2 第887条第2項の規定は、前項第2号の場合について準用する。

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